長く続く回廊、そこに湧く事が絶えないダーカーをアークス達は駆逐していく。
「そぉれ! いっくよ〜!」
「はい!」
「覇ァ!」
赤雪のアザースピンで集中するエネミーを目掛け、さどじまのタリス・ブラウルフトが投擲され、イル・バータで凍り付く瞬間を狙いダグラスが薙ぎ払う。
同じチームならではの連携だった。
マァナは紅葉姫の優美な刀身を縦横に払いつつ、シェスファを庇うようソニックアロウなどで援護を放つ。
「この程度?」
キュクロネーダ、サイクロネーダなどの中型が壁として現れればサクリファイスバイトで力を奪い、細身の刀身を剛刀として振るう。
羅刹の乙女……悪鬼を踏みしめる女神の姿のように、凄惨でもあり神々しい。
シェスファもその経験不足を補う様に懸命な身のこなしで、宙を舞い、時に速射、連射を重ね周囲を援護する。
弱まる敵が居れば、ハルがイル・メギドの掌握で跡形も無くダーカーを消し去る。
無邪気に微笑みながら、無尽にテクニックを使う姿は、楽しげで余裕綽々だ。
追い込まれようが罠であろうが、生き抜く為に必要なのは気力であり、前に向かう意思だ。
ハルはそれをよく知っているからこその姿。
鼓舞するように陽気な声が高らかに響く。
くるくると回すロッドに余裕と高揚感が見える。
「もっともっといくじぇ!」
ウォーリックとブラウリヒトは互いに背を預ける形で、ハトウリンドウとオーバーエンドでの多数殲滅に力を注いだ。 記事を読む →

自分のを付け回す気配に周紀は気付いていた
だが彼女は気に留めるでもなく、ゲートへ向かい、厳戒態勢の解かれたリリーパへの調査願いを提出する手続きを進める。
「……」
だがそれと同時に背後の気配へ無言で圧力をかけた。
清純な少女の外見を持つデューマンの彼女だが、気迫は歴戦の戦士のもの。殺気をたっぷりと込めたそれにぴくっと反応した追跡者は足を止め棒立ちになった。
チラリ、と周紀が背後を見るとトナカイの着ぐるみが立ち止まっている。
シュールな光景だが、アークス内ではどんなファッションもあり得る。
だが周紀にはこの人物が誰か一目瞭然だった。
「……こぬさん」
「え〜、バレちゃうの? そこは何者だ! とかそれっぽくぅ……」
悔しそうに駄々をこねるkonkonを相手にするでも無く、周紀がテキパキと準備を進めて行く。
周紀はそつなく何事もこなし、冗談にも乗る方なのだがどうやら彼女の関わる事態が深刻である事を示していた。
「自分、急いでるからこれで。」
「ああ!! 待って! アタシも連れてってよ〜! 」
「自分は早く先生の加勢に行くから構ってる暇はないの。」
「……あ〜。」
更に二人の背後からジト目気味に見つめる色白の女性キャストの姿があった。
晩白柚……異世界の果実の名を持ち、本来ならばシトラス・マキシマと呼ぶべき彼女だが、何ゆえか正式な名で呼ばれる事は無い。真名を呼ばれるのを避けるのか、無意識に皆がそうしているのかも分からない。
気まぐれに真っ青な肌や赤い肌、乙女も羨む様な真っ白な肌に気ままに変わる彼女だが、今は色白の呈だった。
「何か面白い事……起きてる? わっちはのけ者なん? 」
強めの眼力で二人を睨む姿が、時折彼女を悪魔と呼ぶのが誤りではないように見える。
「ウォーさんの件? 何かハルちん達が勝手に厳戒態勢中に向かったってヤツかい?」
退屈を嫌う彼女はシップ内を思いのままに行動している為、神出鬼没の一面もあり、既にkonkonから情報を得ていた様子だった。
「……」
口笛を吹き首を振るトナカイの姿はますます怪しい。
「戦力は多いに越した事は無い、か。二人とも一緒に行こう。」
ため息をついた周紀が乗船人数の変更を手続きしキャンプシップへ向かおうとした瞬間、ゲートに緊急警報鵜が流れた。
「緊急警報発令。侵食された旧マザーシップがリリーパ上空に出現。大規模なエネミー討伐作戦を準備中。」
三人は視線を交わし合いシップへ向かった。
これはウォーリック達の件に無縁ではない。恐らく当事者であろうと言う事を感じ、一刻も早い行動に出る事を決めたからだった。 記事を読む →

アークスシップの中で名無しのフォトナーが一人、また一人と消えて行く。
だがそれを知り得るものは僅かにしかいない。
存在そのものを隠蔽されたもの達だ。
それが失われようが気に留めるものも僅かだ。
彼らの集めようとした絶望は、果たして何処へ向かうのか。

暗がりの部屋。ある身分の僅かなものたちが集う場所。
カテドラルスーツの男達が言葉を交わし始めた。
「既に事は始まっているようだ。」
重々しい口調が、苦い響きを持った。
「アークスのダーカー化……か」
「既に幾人斬ったか……元は仲間、気分の良いものではない。」
「だが状況は収束しつつある。元凶らしきもの達が次々に消されているようだ。」
「例の件はどうなった?」
「リリーパへの厳戒態勢も解かれた。ジャミミングも薄れつつ有る。連絡ももうじき取れるだろう。」
一同は頷き、また散開して行った。

赤雪たちのシップへ集合した一同は身支度を整え直し、現在に至るまでの状況の照らし合わせと、八代の様態を見定めていた。
現段階では簡単には回復する様子は無いものの一命は取り留めている。
僅かでも遅れたならば絶命する可能性があった程の重傷である為、アトマイザーでの即時的回復は見込めない。一旦は生命維持装置で維持と回復をさせる。現時点での最善策はそれだった。
「マァナさん……」
赤雪の視線に込められた想いをマァナは察して微笑んだ。
「大丈夫、八代さんなら絶対元気になるわ。だってエルダーだろうと一人で倒せるって、いつもそんな調子なんだから。」
命の灯火さえ消えなければ八代は必ず今まで通りになり戻って来る。
マァナの確信と思いはより強く彼女の心を支え背筋を伸ばさせた。

「奴らの狙いは一体なんだ。」
腕を組んだブラウリヒトがマァナを睨む様に見る。
一同の中で、唯一内部事情を知るのは彼女だけだ。
未だに疑念をもたれるのは仕方が無いだろう。
「多くのアークスの深い絶望……気にかかかるのはその言葉。」
「そしてアークスをダーカー化させるその研究……か。」
壁にもたれていたウォーリックが皆に語りかけた。

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「最悪の事態として聞いて欲しい。」
目を伏せていたが、思案していたものが形を結び、答えを告げるようだった。
「恐らく僕はダーカーになる。」
極めて冷静に、感情を込めず。その言葉の意味を自分へ落とし込んだ。 記事を読む →

「兄様! 兄様!」
拘束を解かれたシェスファがウォーリックに駆け寄り抱きついた。
「シェス……」
それ以降の言葉をウォーリックは紡げなかった。
涙を浮かべながら上げたシェスファの笑顔が聞きたかった全てを語っていたからだ。
涙を拭うのも忘れたシェスファが息を呑んだ後声を上げた。
「兄様! 八代さんが……撃たれて……何が何だか分からない……でもあの黒い八代さんが八代さんを撃って……」
「さっきの侵蝕クローンが言っていた事はそれか。」
冷静なブラウリヒトの声にウォーリックが頷く。
「シェス、監禁されていた場所は分かるか?」
「気を失ってて……」
狼狽するだけのシェスファにウォーリック落ち着くよう頭を撫でる。
それだけでも効果はあり、シェスファの呼吸が落ち着いてきた。
「どうしたもんかのう。」
顎に手を当てつつ、ビギナーが髭を指先で遊ぶ。
彼なりに神妙な表情で思案している様子だ。

写真 1

「へっへ〜ん!」
伸ばした右手の中指と人差し指を付けて、ハルがシュッと振ってアピールした。
ウォーリックとシェスファの間に胸を張ったハルが割って入った形だ。
「ハルさん……残念な事にのう……」
「何が!? 」
ビギナーが視線をハルの胸元へ送り、漏らしたため息にハルが噛み付く。
ウォーリックが苦笑しながら、ハルの意図を察して提案した。
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対峙する数は4人。倍の数を相手にするにも関わらず二人の表情に弱気になる色は無い。
動揺が見えた隙をここぞとばかりに赤雪は身の軽さを活かし、クローンマァナへ確実に傷を負わせる。
同時に踏み込んでいたマァナが紅葉姫の刃を垂直にし鎬を横から同じクローンマァナへ放った。
その強打の衝撃に気を失った所へ赤雪が嵐魔を放ち、絡めとる。
「いっくよー!」

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獲物を放り出すようなモーションで投げ飛ばすと、駒の様に回転するクローンを軸にした竜巻が発生し、その渦へともう二人が吸い寄せられる。
その瞬間を見据えたエメラルドグリーンの瞳が刃に反射した光を映すと、刀身そのものが白く輝きだす。
光はそのまま刃となり、左右の薙ぎから真向の一断ちを与える。
オーバーエンドの軌道を確認するまでもなく、合いの手を入れるタイミングで赤雪が乱舞を見舞った。
一体は撃ち上がり、宙に飛んだマァナがツイスターフォールの無情な追撃を、地上に残された二体へ赤雪の放ったワイルドラウンドがしなり叩き付け、切り裂く。
マァナの着地とともに発生した衝撃波が三体のクローンに膝をつかせた。

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