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巨体にも関わらず素早く動き、強力な攻撃手段をもつブリュー・リンガーダは容易な相手ではない。
叩けどもその身体に与える打撃の傷跡は残らず、己に返される槍の一撃は想定されるそれよりも重い。
ブラウリヒトは相対するエネミーが通常よりも強力な存在である二つ名持ち、すなわち【堕の骸】ブリュー・リンガーダであると悟った。
槍に集中すれば二つのリングが縦横無尽に飛び回りブラウリヒト追いつめて行く。
時に吸い上げるように接近したかと思えば、また次は衝撃波を見舞い来る。
手練のアークスでも苦戦する厄介な相手に一人で立ち向かうだけでなく、シェスファを吊るすクレーンを巻き込まない様に立ち回らねばならないのだ。
慎重にだが、僅かな気の弛みも許されぬ状況。
ウォーリックとクローン八代の戦況を気取る余裕も無い。
距離を取り、移動しようとしたその時、【堕の骸】ブリュー・リンガーダの左右にリングが止まるのが見えた。
危険を察知したブラウリヒトは集中し黒い竜巻が正面を捉える瞬間を見切りガードする。
続けて正面に飛ばされたリングをかわしながら僅かに胸を撫で下ろした。
直撃は死を招く……このまま持たせる事は可能かの算段も合わせねばならないのかと思うや声が届く。
「リヒティ! 外だ!」
ウォーリックの声は勝利の証でもあろう。
シェスファの安全を保つ為にもドームの外で戦う方が得策と後退したブラウリヒトへ【堕の骸】ブリュー・リンガーダが嘶きを上げて突進する。
防御へ転じる間も無く胸部へ槍の一撃が命中した。
ウォーリックの勝利、シェスファの安全確保、今までこの相手に強いられた苦境から転じる隙を完全に突かれた。
「グッ!」
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衝撃を受け砂地に身体を落とされる。直撃から追加される傷が少ないだけでも幸いだった。
だが胸部装甲に大きな傷が入った。この様子では何度攻撃に耐えられるかも分からない。
「リング狙いでいくぞ!」
ウォーリックは武器をダブルセイバーのバイオゼクトに持ち替え、連携攻撃に備えた。
立ち上がったブラウリヒトは一方のリングを引きつけながらソードを構える。
空中で停止したリング目がけ飛び上がり、縦回転から斬激を与え更に衝撃波を飛ばす。
そのタイミングに合わせてウォーリックはダイブしながらバイオゼクトを自身を軸に渦状に回転させ、トルネードダンスの突進攻撃を加えた。
二人の動きはそこで終わる事なく続く。
着地とともにウォーリックはダブルセイバーを投擲し、その刃は回転し続けリングを削る。
生じたひび目がけてブラウリヒトが突進攻撃であるギルティブレイク、そして斬激を二度、三度と与えてからオーバーエンドを放つ。
最後の一打が一つ目のリングを破壊した。

二人はアイコンタクトから続けざま、もう一つのリングを破壊するためダーカーの動きを誘導する。
互いに壁際により壁面を背に突進を待ち、巨体が怒濤の勢いを見せれば二手に避け、あえて竜巻攻撃を放たせる。
一つになったリングであれば致命傷となる攻撃を避けるのも容易。

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本体が走り寄ろうとするタイミングを見極め、ウォーリックは飛び上がりながら、再びリング目がけトルネードダンスのからの連続攻撃に繋げる。
往復し走る本体を察知し、投擲ではなく自身がリング側へ跳躍し、刃を真下に向け叩き込んだ。
動きを止めぬリングを、軌道上で待ち構えたブラウリヒトが構えたソードを斜上段から勢い良く円を描かせ振り上げる。
命中と同時に飛び上がり、先ほどは初手に使ったツイスターフォールで衝撃波を生み出すと、ウォーリックが既にコンゴウへと換装を済ませ、ハトウリンドウを射出した。
砂を走るフォトンの波でリングが破壊されると、そのダメージで膝をつく【堕の骸】目がけ二人の連続攻撃が襲う。
どれほど二人が叩き付けたか分からない。
だが二つ名は腕組みをしたままびくともせず、リングを再生させていった。
疲労のたまった二人目がけリングと共に翼に仕込まれた刀から居合い切りが襲いくる。
その切っ先がウォーリックを切り裂くと、視界が揺らぎ相手を捉える事が困難になった。

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ミラージュにかかった彼を回復させようと数少ないソルアトマイザーを取り出そうとしたブラウリヒトだったが、【堕の骸】が武器全てを大地に突き立て、その場にあるもの全て振るわす振動と衝撃を生み出した。
二人は弾き飛ばされ、共に無防備な的となった。
嘶きは死刑執行の合図。
二人を狩ろうとする【堕の骸】の姿はこの瞬間絶対者となった。

「テークニックなぁのだぁ!」
死神の鎌に生命を断ち切られるのは今か、というタイミングで陽気な声があがった。
瞬時に二人を包んだ光の温もりが防御態勢をとらせる力を与える。
寸前のガードで攻撃を弾き、生き延びた両名が視線を背後にやると、得意げにロッドを掲げたハルの姿があった。
パチン、と弾きそのまま真っすぐ指をさす。陽気な態度もそのままに、歌うような調子で続ける。
「やっぱりだ。ジャミングなんて、ハルさんに、どうあがいても、無効だじぇ。」
合わせて響くライフルの銃声。
弾丸がワイヤーを打ち抜き、通過しドーム壁面を弾く音に一同が振り返ると、シェスファがクレーンから落下して行く。
息を呑む二人の姿を横目に速やかなロデオドライブの軌跡がクレーン直下まで描かれた。
白く太い両腕が落下するシェスファをがっしりと受け止める。
おぼろげだったシェスファの意識も落下の衝撃でしっかりと覚醒したようだ。
受け止めたその主はうっとり目を閉じ、すうっと鼻で息をすると自慢のカイゼル髭が僅かに揺れる。
「う〜ん、良い香り……」
「ん……え?ビギおじさま!?」
状況の把握ができぬシェスファが拘束された四肢を激しくばたつかせて意図せず救い主を殴打してしまう。その強さは思わずビギナーが尻餅を突いた程だ。
「ゴメンなさい!」
「んもう、乱暴なのねぇ……でも、そういうのキライじゃないわよぉ。」
思わず和みそうな空気を再び【堕の骸】の嘶きが断ち切る。
「ウォーさん! 思いっきりやっちゃいなさい!」
「済まない!」
【堕の骸】を見据え、フォトンの消費を抑えられるコンゴウを構え直す。
ブラウリヒトもティアダウナーの迷彩をかけたウェドルエイドを一振りし体勢を整えた。
「ハル、何故ここへ。」
「ハルさんはウォーリックさん達のピンチにはいつでも現れるのさ♪」
「だな。」
交わされる言葉の合間に再び飛び交うリングの一つへ、ビギナーの放ったウィークバレットがマークする。
「爆ぜろ……」
と、ここに居ないメンバーの声音を真似、低い声でハルが呟いた。
チャージからベルトロダンを通じ強化されたエネルギーが、マーキング位置に火炎の塊を形成する。
「どっか〜ん♪」
一転、テンション高く明るい命令のもと、ラ・フォイエが炸裂しリングを粉々に砕いた。
ハルは楽しげな様子のまま得意のダンスをするように、軽やかな身のこなしで追撃を許さない。
「ウィークバレットおじさん、張り切っちゃうぞぉ♪」
ビギナーの声は冗談のようでありながら合図も兼ねていた。
二弾目が狙うはもう一対のリングではなく翼。
ここにビギナーの策が見える。残る三発のバレットをいかに使うか。
リングが欠ければ動きが止まるが、再生に使われ戦闘時間が伸びる。
敵陣で戦いを長引かせるのは得策ではない。驚異的な刃が仕込まれたこの部位を破壊する。
狙うは右翼。生命力を奪うインジュリーを誘発する側が厄介だ。
「闇と戯れ、失せるがいい……」
ハルは目を細め厳かに呟き、速やかにロッドを持ち替えイル・メギドを放つ。それは相手の動きから逆算した軌道で、音を立て翼を確実に痛めつける。
「な〜んてね!」
ハルが笑顔と共に操る闇の掌が、ブラウリヒトのギルティブレイクと相乗し翼をもぎ取った。
瞬時に片翼を破られ、今や標的を絞れぬ【堕の骸】本体をブラウリヒトが囮となり引きつける。
距離を取った残る二人がもう一対の翼を奪わんと連携した。

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竜巻を撃つ体勢を見逃さず、逆サイドに残された翼へ向かい、突きと斬激、掌握する闇それらが、【堕の骸】が動きを止める寸前から猛襲する。後追いする様にハルが放った炎で翼が燃え尽きた。
ウォーリックとハル、二人による打ち合わせ無しのコンビネーション。これを即興演奏に例えるなら、極めてスリリングで美しいメロディだと言えるだろう。
ニヤリ、とビギナーが笑いサイト越しにウインクする。
「気分は上々、ステキよぉ!」
三発目の狙いはリング。
既に接近したブラウリヒトが張り付き、強打の嵐でそれを砕く。
膝をついたダーカーは最大の弱点であるコアをむき出した。
愛銃のステブウェポンのターゲットサイトに映るそれを見つめるビギナーの瞳は愉悦そのもの。
「丸見えよ……あぁん、イイ!」
この奇声も、もはやこの戦いを勝ち取る鬨の声だ。
最後のウィークバレットが張り付いた時には猛威を振るう三人の姿があった。
ハルは無尽の業火を、ブラウリヒトが嵐の豪打を。
そしてウォーリックが精神統一からカザンナデシコの一閃を放つ。
悲鳴の様な音を上げ、【堕の骸】ブリュー・リンガーダは消滅した。

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「これは想像以上に役者が集まる……」
一連の光景を見た影が呟いた。
掌に浮かぶ黒い羽根。ふわふわと舞いながらそれは、ウォーリックの背中に付着し吸い込まれる。
誰も気付かぬ出来事。
しかしこれが意味する事に誰かが気付いた時は手遅れだ。
「皮肉だね、とても皮肉だ。だがこれは愉快だ。後は時を待てば終わるが……どう出るか、楽しみにしておくよ。」
全てを識るかのよう、全ての糸を繰るかのように指先を遊ばせそれは闇の中へと戻っていった。
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補足と追記【5】

補足と追記【4】

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赤雪

ハルさんとビギナーさんキタ!!
執筆おつかれさまです!
ハルさんの不敵なテクニック裁き、ビギナーさんの的確なWBが目に浮かぶ!!
役者がそろったってトコロでまさかのウォリさん浸食フラグ……

サービス再開したら駆け付けたハルさんとビギナーさんの挿絵SSも撮りたいね……

2014年06月26日 10:20

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> 赤雪さん
今回は本当に二人のSS欲しかった!
そして災難続く一応主人公の運命は⁉︎
みんな納得してくれる着地点になるものか?

まだまだ欲しいショットもあるのに物語を進めると言う茨の道w
多分ストックお借りする相談するかと思います!

2014年06月26日 10:51

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ハル

コメディからの侵食核、シリアスブレイカーの二人が遂に合流!
SS取れないのが悔しい!復旧したらパソコンでSS撮ってやるんだい!

前衛2人にRaとFoと言うバランスの良いパーティの戦闘はやはり盛り上がる!今後の戦闘も楽しみにしてます♪

2014年06月26日 10:56

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ウォーリック

Re: タイトルなし

>ハルさん
合流出来た理由もまた後の章で語る事にはなるかと思います。
真剣なおふざけっぷりに二人らしさが今回も出たんじゃないかなぁ、とそこは自信あるかも!

これからの展開、収束させるのはかなり大変ですが徐々に着地点への輪郭が見えて来てますのでお楽しみに!

2014年06月26日 12:04

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ビギナー

あの柑橘類は悪魔だからハルさんに乗り移った可能性が•••?
そして裸一貫のおじさんはどこにWBを隠していた•••?

今回も謎が深まる回ですなぁ!

2014年06月26日 15:05

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> ビギナーさん
よ、四次元パンツ?
ぺいゆ……ふふ

2014年06月26日 16:01

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ハル

WBはきっとパンツの中だよ!
多分スペースいっぱい余ってたんだよ!

2014年06月26日 16:27

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> ハルさん
あー(察し)

2014年06月26日 19:29

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マァナ

皆の活躍、楽しく読ませてもらいました♪
個性がすごくでてたと思うー、ウォーさん昔からのフレみたいだし
書きやすかったんじゃないかなと思ったぐらいw

PSO2繋げるようになったし、次の更新も楽しみにしてます><b

2014年06月28日 15:17

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> マァナさん
有難うございます!

いかに明るく、カッコいい活躍を二人がしてくれるかがポイントだっただけに、ハルさん、ビギナーさんが好感触なのは嬉しいですね。

次の展開は新しいSS用意出来そうで有難いですねぇ

2014年06月29日 11:29

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