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あらかた片付いた作業を終え、赤雪は訓練の為に肩ならしの演習に向かった。
ナベリウスならば、どのパターンを辿ろうとも、気を抜かねば容易いものだ。
チームメンバーや友人と共に現地へ向かい、それぞれでパーティを組み一汗をかく。
そんな時間を過ごした後、休息の一時だ。
「あなたが、赤雪さん?」
……天使みたい……声をかけてきた女性に赤雪が感じた印象はそれだった。
「え? はい、そうですけど……」
「初めまして。私はマァナ。そうね……共通の友人はウォーリック……ウォーさんね。」
略称で呼ぶところ、自分と同程度には彼と親しいのだろう。
優しげなエメラルドグリーンの瞳にたたえる光は自分へ好感を抱いてくれている様に思えた。
「ウォリさんの……そっか……」
消息不明の件を伝えて良いものか僅かに戸惑う。
ゆっくりと近付き、身長差がある赤雪の耳に少し身を屈めたマァナがそっと囁く
「彼の件……知ってるわね。」
赤雪の全身が緊張する。
これはどういう意味なのか。
チームマスターやマネージャークラスならばある程度知っていてもおかしくは無い事柄だ。
だが、このナベリウスまで来てそんな事を自分に話すという事。それはどういう意味なのか。
しばらくの無言。それこそが知っている証明でもあり、赤雪の戸惑いでもあった。
「そんなに驚かないで。彼だけじゃなく、私の大切な人もリリーパで危険な目にあっているらしいの。だから力を貸して欲しい、そうお願いしたくて。」
マァナの表情は嘘をついている様には見えない。
大切な人という言葉に込められた感情が、家族やチームメンバーを思う自分の感情と重なる印象を受けたからだ。
「なしごれんは、ウォーさんと馴染みがある中でも大きな方だと聞いてるわ。きっと今まで所属していたTry-Gearは自分達で動くでしょうから、相談するなら規模が大きい方が私としては助かるの。図々しい事は分かっているけれど、話だけでも聞いて貰えないかな? 」
こくり、と赤雪が頷く。
それに対してマァナが可憐な微笑みで礼を返す。
「人払いはしなくていいの? 」
「大丈夫。きっと捜索や救助になればみんなの力を借りるから、この際何人かは知っても問題ありません。マァナさんのプライバシーに関わらないなら、このままでいいですか? 」
「大丈夫。私にもさっき言った以上のプライベートな事情も無いもの、平気だよ。」
首を振り長い髪を束ねたピンクのポニーテールが揺れる。
オラクルは様々な人種や血統が混じり、一種の突然変異なども頻繁に現れる。
多少珍しくはあれど、赤毛の変種の様なものと周囲が捉える程度日常的な髪色でもあった。
演習に訪れる他のアークスとの接触や盗聴され易い可能性を考慮して、との提案を受け遺跡側に移動しマァナが語った内容は赤雪にとって少なからずとも衝撃的なものであった。


疑似侵蝕核とそのコントロール実験。
それを虚空機関の残党が実用化し、その一部をリリーパでアークス襲撃に使ったと言うのだ。
ウォーリックが消息を断ったのはミッション後、彼女のパートナーである八代も近い次期に行方をくらましてしまった。
八代を助ける事、それが彼女の最大の望みであり、友人であるウォーリックも同時に捜索するならば人手は幾ら合っても足りない、それがマァナの話であった。
虚空機関の残党、そう聞き一瞬の目眩に襲われた赤雪をメンバーのさどじまが脇で支えに入る。
「マスター、だいじょうぶ?」
あどけない口調でクマーが尋ねた。
大人顔負けの巨大な体躯をしているがまだ少年の粋を出ない彼にまで心配をかけてしまった。
思っていたよりも大きく虚空機関の存在そのものの影は心に残っているようだ。
「うん、大丈夫。」
「でも……何かおきたみたい、気をつけようね!」
マァナの声に辺りを見渡すと突如発生したナベリウス原生種の群れがあった。
それは明らかに侵蝕核……翼を象るそれが、原生種を蝕んでいる……ウーダン、ガルフ、それだけではない、核の影響のせいなのか今まで見た事も無い巨大なガロンゴが数匹目に入る。
キャタドラン級のその大きさは圧倒的で、危機感も高まってゆく。
一同は半円状に追い込まれたようになっていた。

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「結構やばいんじゃない?」
「さっきの話が本当なら……余計にね」
演習に同行していたレヴィティアとクロードが揃うように言った。
「くまみみ族の誇り! こんなやつらを怖がったりしない!」
クマーも戦意満々でソードを構える。
各々がこの自体に対応しようとするのを妨げようとするかの如く、巨大ガロンゴが一斉に動き出す。
通常のガロンゴでさえ、車輪状に丸まり突進してくるのは厄介な相手だというのにこの大きさだ。
遺跡の壁にぶつかる衝撃で、一同の体勢を崩される。弾き飛ばされた形になった赤雪をマァナが受け止め、庇う様にエレクティフィニスで迷彩効果を受けたマシンガンを撃つ。
「まだ得意ってほどじゃないんだけど!」
赤雪をおろし、ロールから連射と基本にそった動きから正確に狙い打つ。
庇護されるだけの側ではない意思を赤雪はワイヤードランスに込め原生種をなぎ払う。
即興で出来たコンビネーションとしては上出来だ。
だがこの激しい戦いで誰も気付けなかった要素が一つだけあった。
この二人だけが分断されるよう、原生種が動いていたという事に。

2014-06-15-144733.png

「皆とはぐれちゃいましたね。」
「そうねぇ……」
赤雪が空気を明るくしようと振る舞ったのと対照的に、マァナの声音は憂鬱そうに聞こえた。
「ねぇ、赤雪さん。」
呼びかける時には既に出会った時の音を奏でていた。
「はい。」
「あなたは可愛いし、仲良くなれそう。」
「え?」
気恥ずかしさに一瞬目を逸らしたその時だ。
「でも……」
込められた殺気に赤雪が後ずさった。
「私はあの人を守る……たとえどんなに汚れても……」
「!?」
明らかな威嚇射撃。
赤雪に戦闘態勢を取らせる為のそれだ。思惑通り反射的に赤雪はグロリアスウィングを抜いた
「不意打ちは許してくれないかな。」
「どうして! 仲良くなれそうだって!」
「こうしなければ彼の命はないの……」

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微笑みに混じる心の痛み。
既に赤雪の技量は分かった。
勝ち目があるかそれとも……。

赤雪もこれ以上の話を聞く為に、決意を固めた。
マァナは威嚇射撃の後に腰を落とし赤雪目がけて銃弾を放ち、対する赤雪はグロリアスウィングで銃弾をさばくように操る。
全て撃ち落とせる筈はない、そして赤雪もマァナも互いに細かな傷が増えて行く……筈だった。
擦り傷や僅かな被弾を受けるたびにマァナは傷をいやしていく。
「ガルド・ミラ!」
赤雪は迷彩に隠された武器の名を呟いた。
長期戦になればなる程不利になる。
与えたダメージから使い手を回復させるこの銃を相手にどうするべきか。
一瞬跳躍するように膝を折り腰を落とす相手に、マァナも反射的に照準体勢を変えようとした瞬間だ。
全てはフェイク。
そこからワイルドラウンドの連続攻撃がマァナを切り裂く。
あわよくばマシンガンを弾ければと願う赤雪だったが、マァナは苦悶の表情を浮かべながらも後方へ舞い飛びロール回避をする。
着地の瞬間を見切った赤雪が大地を突き刺し、閃光の柱をマァナの周囲に立ち上らせた。
このカイザーライズの一撃でマァナが膝をつき、赤雪は一瞬勝利を確信した。
それが甘かった。
殺意の差……それが決定的な違いだ。
痛みに耐えたマァナが再びダイブしながら赤雪を襲う。
着地と同時ゼロ距離間際まで至ったマァナの意思を込めた閃光が赤雪を直撃した。

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偽りの道化師【7】

偽りの道化師【5】

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赤雪

迷彩の下ガルミラだったんだwぐぬぬ……

6話執筆お疲れ様です!

マァナさんと八代さんの関係が気になります!!
大切な人の為にあえて自らの手を汚す……マァナさんの想いの深さが伝わってくる熱い展開!!

ラストで直撃しちゃってる赤雪さんは大丈夫なのか!?
いろいろ気になる伏線もあるし……続き楽しみにしてます!!

2014年06月17日 11:22

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ビギナー

突然のキャットファイト!
おじさんどっちを応援したらいいのかしら(゚Д゚

2014年06月17日 18:20

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マァナ

うわー!武器設定ガルミラって事は書いてたけど、武器迷彩葉伝えていなかったのに、SSで理解してそれを生かしたうぉーさんすごいw
他の設定も盛り込んでくれてありがとですー><b

撮影会のSSがこういう風になるなんて素敵!
赤雪さん達との今後の展開に目が離せないよー!

2014年06月17日 19:23

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> 赤雪さん

なのですよ。
今回はまた赤雪さんから頂いたSSがマッチするシーンがあったので有難かったです!
感謝、そしてまさにコラボです。
直撃した赤雪さんはどうなるのか⁉︎

>ビギナーさん
ロリorノットロリ 美少女か美女か、それが問題だ……ハムハムレットでw

>マァナさん
頂いた設定は出来るだけ活かしたいので、頑張りますw
赤雪さんからもらったSSの表情がないのにな悲しそうな空気を出してるのが、より効果的になったかなぁ。
迷彩はどう扱うか非常にデリケートだったけど、いい隠し方になってなによりでした。

2014年06月17日 19:52

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クマー

クマーくんでてる!!いい感じにでてる!!
こーゆーの割と嬉しいね(*'ω'*)

ストーリー的にはなにやら不穏な空気…?

2014年06月18日 13:00

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ウォーリック

Re: タイトルなし

> クマーさん
僕は結構クマーさんのキャラクター性、しっかりしてて好きなんですよねぇ。
気は優しくて力持ち、そんな感じが伝わればなぁと。
折角SSも皆で映ってるので出させて頂きました!
嬉しいと言ってもらえるのはこちらも嬉しいです!

気になる続きは……頑張りまする!

2014年06月18日 15:00

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