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「上手く行った、上手く行ったぞ!」
嬉々とした甲高い男の声は耳障りで仕方無い音を奏でる。
「そうだ、何人もの特異点が存在する……今のこのアークスの状況こそ革新の時!」
男は両手を拡げ、独裁者のアピールかの如く大仰に周囲へ声を張った。
到底カリスマ性に欠ける男だが、虎の威を借る狐のよう大きく振る舞った。
「我らは進化を遂げる!必ずだ!志半ばで、倒れる事など、許されはしない!世界もヒトも、すべてが変わるべき時が来たのだ!同士諸君!我らの栄えある未来に、乾杯しようではないか!」
言葉を短く切りながら抑揚を強める古典的手法の演説がホールにこだまする。

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歓声も響くホールの中、壁際で腕を組み俯き加減にしている女性……マァナの表情は、本来持つ可憐さを曇らせ不快感を無理にかみつぶそうとするものだった。
「下らないわ……本当に。」
そう呟く声は、この場所で誰かが聞き取れるものでは無かった。
ため息をつきながら熱狂するこの場から抜け出してゆく。
たとえこの下らない集団に利用されようともやらなければならない事がある。
守らなければならないものがある。
だからこそ、今はこの不快な思いにも処遇にも耐えなければならないのだ。
顔を上げた瞳に込められた力は強く、彼女が今から向かわねばならない苦境への覚悟を示していた。

「……一切の情報が入らない、か。」
ウォーリックがしかめ面で呟く
食料の備蓄が尽きるまで、もしくはリリーパ族の集落まで辿り着けるならば生き延びる術もあるだろう。
だが、後者に関してはターゲーットがもし自分達だった場合、リリーパ族へ多大な被害を与える可能性があり得る。築き上げた信頼を潰し、ささやかながら平穏に暮らそうとしているあの小柄な原住民達を危険な目に遭わせる訳にはならない。
「兄様、リリーパならもしかしてフーリエさんが来たりしてないのかなぁ」
シェスファが小首をかしげつつ彼女なりの案を述べる。
「他に……さっきのシグノガン、全機浸食されてたのはどうしてかなぁ。あんなに沢山の侵蝕型が出て来るって不思議……」
「確かにそうだ。DFの線は消えた様に思ったが、あれだけの数の侵蝕機体が集団で、統率をとって攻撃をしてきた。何故だ? しかもテレポーターが置かれた位置に速やかな襲撃を行える……」
断片ばかりの提示に、思考も正確な意図を掴めないまだ。
明らかな隙が出来たその時、銃声と共にウォーリックの左肩が撃ち抜かれた。
「!?」
僅かに危機を察知し、軸をずらさなければ即死だっただろう。
それ程に正確な射撃だった。
「【仮面】!?」
シェスは黒衣の射手の姿を認めて叫ぶ。
均整のとれた体つきに黒のコート。頭部を包むマスク……確かにDFの一人を彷彿させる。
「違うな……【仮面】ならマシンガンを使うとは考えにくい……」
「……来い。」
淡々と話す口調、声音も確かに【仮面】のようにくぐもった鈍い響きで挑発をするが別人のものだ。
相手の戦意は明らか、そして被った痛手は得意のツインダガーを扱うには不向きだ。
「兄様、あたしが!」
「いや、あいつの標的は僕らしい。やるしか無いだろうな。」
ファイターとしての戦術は左肩を痛めた時点で失っているも同然。
ならば選ぶべきは……ブレイバー、しかも防御は捨てた状態でカタナを扱うのが最も戦える術だろう。
「紋章武器か……」
僅かながら相手の力量を楽しむ気配が声に含まれた。
その両手には不知火星。この時点でこの男が強者である事は確実だった。
「戦わないという選択肢は無いのだろう?」
ウォーリックが気圧されぬ気迫を返し、ゆっくりと構える。
お互いの呼吸は攻撃の機を探る為だけに存在した。
二人の姿をシェスファは口を手で被いながらも、身体の震えを止める事は出来なかった。
相手も手だれのアークスか、それに匹敵する存在……それが本気でぶつかり合えば無傷で済む筈もない。ウォーリックが勝利してくれると信じたい反面、もしもの事が……と考える自分が居る事にも彼女は困惑していた。

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「ハァッ!」
ウォーリックは先制するため、愛刀であるコンゴウの切っ先を地面スレスレに這わせ衝撃波を放った。
背中に広がる一角獣の紋章が消える瞬間、相対する仮面の男は真横に回転しながら宙を舞う。
衝撃波が届いた場所にはすでに影すらも残らない。
ただ舞い散る紅葉が漂うだけだ。
だが間髪入れずタメの構えから、雷の如き素早さでシュンカシュンランの一突き目が追尾していた。零距離で放たれる弾丸と神速の一撃が交差する。
着地の隙を見逃さず剣先が相手の肘をかすめるも致命傷には至らない。
踵を返した追尾の斬激を、仮面の男は距離を取りかわした。
そこから一拍の間もなく双機銃の威嚇連射が放たれたかと思えば、再び宙を舞い、次に走りながら連射で距離を詰めようとする。
だがその的はおとなしく止まる筈も無い。
被弾覚悟の跳躍から、カタナの切り下げと切り上げの連続攻撃が仮面をかすめた。
「……流石にやる……」
もはや互いが全くの無傷ではなく僅かなズレだけで命の奪い合いが終わってしまう事を、仮面の男は楽しんでもいた。
「猶予は無いんだが……」
仮面の男が呟く。
その刹那、シェスファの周囲にサークル状のエネルギートラップが発生した。
通常のトラップと違い、檻の形状を持ち抜け出せそうにも無い。
「何だと!?」
叫んだのはウォーリックではなく仮面の男だった。
その背後に現れたのは無数の機甲種を従え、同じく仮面を被る姿形瓜二つの存在だった。
両手に収まる不知火星、そして放った声すらも同じものだった。
「手段は選ばん……取り戻さなければならないものがある……」
感情も起伏も無い声だったが、それは今ウォーリックが相対する男の胸に抱いている感情そのものでもあった。
「まさか……」
呟く先手の仮面の男……その仮面が言葉を終えると先ほどの傷からひび割れ、砂上へと落ちた。
隠されたその顔はウォーリックが以前より知る男……
採掘基地防衛などでミッションを共にしたアークス、八代のものだった。
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追記と補足【2】

亡備録がわりに

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comment avater

マァナ

わー!突然のお願いだったのに出演させてくれてありがとー♪
しかもうちが出した拙い設定でここまでかっこよく話を膨らませてくれるとは、
さすがうぉーさんだー!
八代さん対うぉーさんの戦いは胸熱でした////

2014年06月12日 09:43

comment avater

赤雪

タイマン戦闘シーンかっこいい!!
片腕負傷で、リンドウ主体の戦法を選択する流れがイイ!!

今回登場した二人は、以前ウォリさんのお誘いで防衛か何か行ったときに会った気がする……かも?
この物語をきっかけに、ゲーム内でも交流が深まればいいなぁ……

2014年06月12日 10:20

comment avater

ウォーリック

Re: タイトルなし

>マァナさん
最初、八代さん絡みの話も来てたから、切り離せないキャラクターだなと思い、無理に許可とって貰うお手伝いありがとう。
緻密な設定の人はまたそれを活かすし、枠組みみたいにこんな感じと伝えてくれるだけでも、大事に扱わせて頂きます。
活躍するのはこれからですよw

>赤雪さん
やっぱり、相手が強そうと見せるには、と言うのと前回使ったのがブレイバー使用可能なダガー、ディヴァニスだったしコンゴウ対不知火星はビジュアル良さげかなぁとエフェクト盛り込みながら書いてみました。
八代さんご本人は、こちらから無理にお願いしたから、バトルシーンを撮るのが難しく、ソロPAで抑えた感じてすね。
お二人とは侵入か襲来かで、確かに赤雪さんもご一緒した可能性はあるなぁ。

2014年06月12日 13:21

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