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彼女の目覚めは、時に憂鬱な波に襲われる事がある。
体験した記憶の無い悲しい夢。
いつもその内容を思い出す事は出来ないのだが、目覚めとともに涙が溢れ、言い難い深い哀しみと胸の痛みが押し寄せるのだ。
この日の朝もそんな朝だった。
「……うう、また……」
すすり泣きつつも、虚ろの中から抜け出した彼女……赤雪と呼ばれる少女は、強く息を吐き出す事で普段から周囲の抱く彼女の姿に立ち返った。
大ぶりなリボンを結び、着替え終わった彼女がリビングに行くと、優しく微笑む兄が朝食の用意を終えた所だった。
「おはよう、赤雪。」
「おはよう、お兄ちゃん。」

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いつも通りの朝、いつも通りの会話。
それでもけして退屈ではなく、平穏に生きていられる事の喜びと言うものを赤雪は日々感じている。
彼女が率いるチーム‘なしごれん’のメンバー達も赤雪へ愛情と信頼を持って活動している。
人数も増えた、賑やかな第二の家族。
時に厳しい任務もあるが、それを耐えるだけの支えがある事は普通のアークス以上に恵まれた環境なのだと、常に抱いている想いだった。
「今日の体調はどうだい?」
心配そうな兄の表情を見ると、また胸が痛む。
ルーサーの動乱に乗じ赤雪が虚空機関の干渉を受け、身体に過剰な負荷強いられしばらく活動が出来ない状況が続いていたのだ。
不本意ながら妹を守る為に虚空機関へ在籍していた兄もおそらく責任感から生涯逃れる事が出来ないだろう。赤雪は精一杯の笑顔で兄へ答えた。
「うん、大丈夫。ルーサーの一件で虚空機関も事実上機能してないし、これ以上関わる事だってもう無いよね。お兄ちゃんも抜けだせたし、チームの皆もあたしを守ろうって結束してくれて……それだけでも充分気持ちが楽だよ。おかげでこうしてご飯もモリモリ!」
用意された朝食を軽く平らげ、シュガーレスでミルク多めのカフェオレを飲み干すと、赤雪は軽やかに椅子から立ち上がった。
「それじゃお兄ちゃん、行ってきます!」

imageA2.png

「マスター久しぶりっす!」
「お帰りなさい!」
「演習行きますか!?」
「ま〜、適当にでもいいんじゃない?」
「ゆっくり遊ぶクマー!」
「先ずは報告書の確認からだろうな、ある程度は纏めておいたぞ。」
チームルームに入るなり多数のメンバーから声をかけられ、大きな目を一層開く羽目になってしまった。
確かに少々久しい感触はあるが、ここまで歓迎と喜びが待っているとは……。
赤雪の心が温もりで満たされてゆく。
「みんな、ありがとう。うん、そうだね。ここの最近の報告書の確認と、他のチームの様子も見とこうかな!」
信頼出来る腹心とも言えるマネージャー達が作ってくれた報告資料は赤雪が作成するものと遜色無いものであった。
頻発する緊急任務も順調にこなし、随分と増えたメンバー達の仲も良好のようだ。
一通りの報告書を確認した赤雪は交流のある各チームやアークスの情報を閲覧していった。
そうした事柄を把握するのもチーム運用や任務に際しての協力要請に必要な事項だからだ。
「え……ウォリさん達が消息不明って……」
赤雪の手が止まった。
ウォーリックは赤雪とツーマンセルでDF【仮面】の出没調査に向かうなど共同任務をこなしたアークスの一人であり、頻繁な情報交換を行うなど互いに信頼関係がある人物だ。
それだからこそ救難信号調査レベルの任務で消息を断つ事などあり得る筈も無く、明らかに腑に落ちない。
自分自身が置かれた立場も考えて、少なくとも何者かの意思が関与している事は間違いないと確信した。
「まず、この任務自体が問題があるものだったのか、それともウォリさん自体が標的だったのか……そこからだよね。」
赤雪は通信回線をメンバーの一人に開いた。
チーム内で使う秘匿通信用の回線だ。通信の性質上、この回線を使う時には誰が誰にという呼称を仕様しないよう心がけていた。
「お願いしたい事があるの。リリーパの失踪事件、知ってる?」
「知ってますよぉ!」
「それにまつわる情報を手に入れて欲しいんだ。適任なのはあなたかな〜って。」
「うむぅ……確かに! バッチコーイ!」
ウォーリックとも繋がりを持つメンバーなら、動き易い筈。
赤雪自身が動けば、関係のない勢力が動き出す可能性もある。
出来るだけ無駄の無い情報を的確に手に入れる必要があるのだと、彼女は考えたのだ
「結果待ちっていうのも性に合わないんだけどなぁ……仕方無いか。」
ルーサーの一件で受けた干渉を教訓に彼女は以前よりも耐える事を学んでいた。
「でも、いざという時の準備はしなくちゃね。」
デスクからひょいと離れると、その足は武器庫に向かった。
愛らしい風貌の彼女を、標的を狙う猛禽へと変貌させる自在槍たちのもとへ。
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追記と補足【1】

偽りの道化師【2】

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comment avater

赤雪

うわーコレ恥ずかしいなぁw
凄くくすぐったい気分になるね!
かなり主要キャラになりそうな感じで嬉しいなw

お兄ちゃんが朝ごはん作ってくるシチュ。最高に美味しいです!

こんなにチームメイトに慕われてるかなぁw
クマーさんの特定余裕っぷりに、どうしても笑ってしまう赤雪でした~!

2014年06月10日 01:37

comment avater

ウォーリック

Re: タイトルなし

お兄ちゃん見た時に閃くものがあって、何となくそんなイメージで書いてみました。

赤雪さんはチムメンに好かれてるのはブログとか見てても思うんで、ゲームという少しお遊びの枠を外した人間関係だとこうなるんじゃないかぁと。

やはり自分のキャラだけ格好つけるより他の皆も深みや美味しい所をつけて書かないと自己満足作品とはいえ白けてしまう……先行したハルさんやビギナーさん含め活躍させたいねぇ……途中で4人クエストのSS撮影したり、探索を利用してブラウリヒトやシェスファを絡めて12人出してのクエストとか夢が広がります。

クマーさん口調はどうしても書く手を止められなかったのです!
バッチコーイの人もね!

2014年06月10日 01:48

comment avater

クマー

マスターきた!!マスターきた!!!歓喜!!
セリフで割と誰なのか分かるのが面白いクマー(*'ω'*)

2014年06月10日 20:58

comment avater

ウォーリック

Re: タイトルなし

そう、想像以上に出番が多いのでした。
台詞だけですがクマーさんらしき人もw
赤雪さんの出番で喜んで頂けたのなら何よりですよー!

2014年06月11日 01:06

comment avater

おそらくバッチコーーイの人

ようやくゆっくりブログ読めたー♪
なんだか凄く楽しそうな小説はじまってるぅ!?
やだ、続き気になってしょうがないんだけど
(´・ω・`)
このバッチコーーイの人ってどのバッチコーーイの人だろう?登場させちゃうとログがあれちゃいますよ(;^ω^)それでも良いならウォーさんのお好きなように穢していいのよ///

2014年06月12日 20:19

comment avater

ウォーリック

Re: タイトルなし

バッチコーイ!でなしごれんで、繋がりがとか言ったらもう特定じゃないですかなぁw

出していいならまぁ、また出番はありますぞいw
楽しんで頂けたら幸いです。

2014年06月13日 00:18

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