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「妙だな。到着報告以降の連絡がないとは。ウォーリックらしくない。」
腕組みをしながらキャンプシップのコンソール前でブラウリヒトが呟いた。
今回の任務は本来なら彼とウォーリックのツーマンセルで向かう筈だった所を、駄々をこねるシェスファに譲った形になっていた。
救援信号の救出任務など、定型任務の一つだろうとタカを括っていたのだが、どうも風向きが怪しく感じられる。
「転送後の行動ログは送信されている……順調に目的地に到着。問題なく信号の主を保護、か。」
問題なく任務が完了しているのであれば、ミッション開始と終了後に必ずウォーリックは何らかの連絡を個別で送信する。
これは用心深さに基づいた事ではあるのだが、それが無いというだけで充分に疑念の材料となるのだ。
不審に思い通信を試してみたが応答が無い。


そして再びコンソールへ向かい通信回線を本部へ繋いだ。
「ヒルダへ繋いでくれ。」
本部であればミッションの状況把握に誤差があるか分かる筈だ。
しかし、通信モニターに現れたのはヒルダではなかった。
「ブリギッタか。」
「ブラウリヒトさん、ご用件は何でしょう?ヒルダさんは今、手が離せないようですから、私が伺います。」
「ウォーリックからの連絡がキャンプシップに来ていない。本部に報告は来ているか?」
「……行動ログの送信はシップに行っている様子ですが……」
「帰還する様子がない為こちらで通信を試みたが、反応がない。」
「ああ、こちらへ通信がありました。テレポーターが異常を起こしてシップに戻れない為、別のシップを寄越して欲しいと。なので、ブラウリヒトさんはそのまま帰還して下さい。」
「そうか、手間をかけたな。」
通信終了をして再び行動ログを確認する。
異常な点は全くない。
何も無いが故に、それが気になるのだ。
データの解析を改めるため、コンソールに手を伸ばした時だ。
轟音と振動がシップを襲った。
重量のあるキャストの体躯ですら揺らぎ、ブラウリヒトが膝をついた程ほどの激しさだった。
「!?」
シップ内にアラートが響く。
直撃では無かったものの、砲撃がキャンプシップを強襲したらしい。
続く数発の被弾により保てなくなる姿勢から、ホバリング噴射でブラウリヒトは立て直しを試みた。
起き上がった彼はシップの窓から状況を疑う光景を目の当たりにした。
武装したアークスシップがこの船をめがけ砲撃する様を。
そしてキャンプシップは閃光に包まれた。


「ふえぇ、退屈なのだぁ。」
チームルームでハルはあくびをしながらシートに寝転がった。
手足も軽くばたつかせながら、何とか持て余した時間を消費しようとする様でもあった。
「あれまぁ、クラフト依頼もひっきりなしなのにそんな暇なのかい?」
エレガントにカイゼル髭を撫で付けながらビギナーがバーカウンターから声をかける。
紳士を自称するこのキャストは、ほぼ生身の半裸体で普段を過ごしているが、今日は気分が違うのかピンクのタキシードで白くたくましい体躯を包んでいた。
「ハルさんの手にかかればクラフトの100や200でもあっという間さ。」
得意げに言うハルは自他共に認めるクラフターでもあり、特にテクニックカスタマイズにかけては天才的と言っても過言ではない。
「そうねぇ、まあアタシはそろそろ走破演習でも行ってこようかしら。」
「ビギナーさんは熱心だねぇ……」
「紳士たるもの自分磨きは大切よ……もちろん淑女もね♪」
おどけた調子でビギナーが言う。
外面で判断すれば、奇抜極まりないこの男。
その実は腕利きの射手でもあり、近接戦闘の腕も周囲が認める程でもあった。
「ハルさんも龍祭壇ならついてくじぇ」
「うーん、今日は祭壇の気分じゃないのよねぇ……ごめんね、ハルさん。」
ビギナーが軽くステップを踏みつつ言った。
必要以上に上手い所がまた小憎らしさと優雅さを乗算させて独特の空気を醸し出す。
「そうね、今日は機甲種辺りを相手にしようかしら。」
「あれ? 今、リリーパは厳戒態勢って本部が言ってなかった?解除されるまではリリーパに行くなって……」
「そうなの? でもウォーさんとシェスちゃん、昨日リリーパへ救難信号の任務に行ったって聞いてたけど。まだ見かけてないねぇ。」
「ウォーリックさんならともかく、シェスちゃんが任務後にショップエリアではしゃぐ姿を見かけないって……」
身を起こしながら言うハルの眼差しが真剣味を帯びたものに変わった。
茜色の瞳に影が差す。
「それってまだ帰って来てないって事だよね。」
「もしかして調査そのものが厳戒態勢の原因?」
「だったら、厳戒態勢にならず更に調査チームが向かう筈だし……一旦離脱の形を取ってるとは言え、在籍してたウチのメンバーが派遣されたっておかしくは無いんだじぇ。」
ルームに設置された情報端末を素早く操作し、現段階で分かり得る情報を引き出そうとしたハルの目が大きく見開かれた。
「嘘!?」
指先がピタリと止り、肩を落とすハルの背中はビギナーが見た事の無い姿だった。
「昨日行われたリリーパ救難信号ミッション後、キャンプシップが爆破……調査を担当したウォーリック、シェスファ、ブラウリヒト、3名のアークスの生死は不明……」
軽く唇を噛むとハルはビギナーに向き直った。
「ありえないね、この情報は。ハルさんはこの目で見ないと信じないよ。」
ビギナーも上着を脱ぎ捨てながら同意を示す。
ニヤリ、と悪戯を思いついた悪童のような表情で言った。
「そうね。あの慎重なウォーさんがそんなザマ晒す筈はないでしょ。行きましょ、ハルさん。‘走破演習’に。」
「うん、演習だもんね。行こう、ビギナーさん。」
二人はカウンターから演習許可を取り、ナベリウスに向かうように偽装した進路をリリーパへと修正させた。
三人は生きている。
思いは固く、その意思を誰かに砕かせず荒野の惑星へ向けて。
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偽りの道化師【3】

何事が始まったかと、なんてお話

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ハル

おぉ!早くも二話目!そしてハルさん&ビギナーさん登場っ‼︎今後の展開が気になるのぅ♪
スーツを着ての登場と思いきや、1話も持たずに脱ぎさったビギナーさんは間違い無くビギナーさんですな。

2014年06月08日 06:23

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赤雪

2話目執筆おつかれさまです~

ビギナーさんのキャラ付けがカッコよすぎるwもっと仲良くなりたくなってきたw

熟練アークスの雰囲気を漂わせるハルさんも思わず惚れ直しちゃうね……

曲者感溢れる2人の活躍に期待!!

2014年06月08日 10:37

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ウォーリック

>ハルさん

どうでしょ?
満足いける登場シーンになったかなぁ?
口調や仕草は出来るだけハルさんっぽくしたつもり。
課題はテク描写をどうするかだけど、がんばっていくよ〜!

>赤雪さん
少しオカマ口調の曲者は、キャラ描写すると何故か魅力てきになるよねぇ。
実際ビギナーさんは頼りにもなるし、人から好かれてるし、イメージに添いながら洗練してみたよ。
実際遊ぶ機会も増やしてみるのだ!

2014年06月08日 12:07

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ビギナー

~移動中
ハ「ところでビギビギさん。そんな軽装で大丈夫?」
ビ「身軽さを極めてるのよ」
ハ「•••やれやれだぜブラザー!」
ビ「ブラジャー?」
ハ「ノー!!」

ここまで妄想しました///
そしてやっとコメントの書き方がわかったよ(’A′;)

2014年06月09日 01:33

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ウォーリック

>ビギナーさん
確かにチムチャから想像出来そうな会話のながれw
はたして道中はどうなるのか、また想像が拡がるね。
ビギナーさんの印象が読み手に受けている感じなのは何より。
何だかんだと曲者多いチムメンだから、希望があればまで出番追加出来るけどね?

2014年06月09日 02:33

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homura

PSO2本編並みに作り込まれてて感服です(=゚ω゚)ノ♪

今後の展開楽しみにしてます♪
ビギナー様も早速ご出演で♪w

連載頑張ってください♪

2014年06月09日 12:22

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ウォーリック

>homuraさん
ほむさんまでコメントくださりありがと〜!
楽しんで貰えるよう、マイペースに書いていきますよぉ!

2014年06月09日 15:54

comment avater

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2014年06月09日 20:51

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